髪型がうまくまとまらない…「毛髪の軟毛化」はAGAの兆し

ヘアセット

朝ヘアスタイルをセットしていると、直ぐにキマるときもあれば、なかなかうまくまとまらないこともあると思います。このようなヘアセット時のまとまり具合については、寝癖による髪の立ち上がりなども関係しますが、「最近やたらと髪型がキマらない…」という場合については注意を要します。

スタイリング剤を変えたわけでもないのに妙に髪の毛のセットがうまくいかないという場合は「毛髪の軟毛化」が関係している可能性があります。男性型脱毛症(AGA)の初期症状として忍び寄る「毛髪の軟毛化」について解説いたします。


弱々しい「軟毛」が増えると、頭髪のセットがキマらない…

軟毛

髪型をセットする際には、毛髪1本1本のハリやコシが重要になります。髪の毛を立てる場合も柔らかくまとめる場合も、そこに髪のハリやコシがないと弱々しくしっかりとまとまりません。無理にまとめようとしてワックス剤を多く付けてしまうケースもありますが、この場合には不自然なベタツキが目立ってしまいます。

うまく髪型がキマらない原因の一つとして考えられるのは、「毛髪の軟毛化」です。細く弱々しい髪の毛が前頭部や頭頂部に増えてくると、髪の立ち上がりが悪くなってしまい、思うようなヘアアレンジを実現させにくくなってきます。


頭髪に細く弱々しい毛(軟毛)が増えていませんか?

前頭部や頭頂部で起こりがちな「ヘアサイクルの乱れ」がもたらされると、毛髪1本1本が細く弱々しくなってしまいます。髪の毛や体毛は、全てが「成長期→退行期→休止期」といったヘアサイクル(毛周期)によって維持されており、髪がすくすくと育つ「成長期」に関しては通常2~6年程度続きます。

つまり、髪の毛は少なくても2年間はそこにあり続けるという前提になっており、ヘアカットなどを繰り返しながらも髪の毛1本1本とは長い付きあいをしていくことになります。「成長期」を終えたものは、「退行期」、「休止期」を経て抜け落ちますが、またしばらくするとそこから新しい毛髪が生えてくるという繰り返しになっています。

そして、このようなヘアサイクルは毛髪1本1本でそれぞれ発毛のスタート時期が異なるため、秋の枯葉のように一斉に抜け落ちることはなく、うまく全体量が維持される仕組みになっています。ところが、男性型脱毛症(AGA)を発症してしまうと、このような調和のとれたヘアサイクルに乱れが生じてしまいます。


男性型脱毛症(AGA)になると、髪の「成長期」が短縮させられる!?

ヘアサイクル

男性型脱毛症(AGA)を発症してしまうと、正常時のヘアサイクルに見られる「成長期(2~6年)」がわずか数ヶ月という短い期間に短縮させられてしまいます。こうなると、そこにある髪の毛は十分に成長することができず、細く弱々しいままにその生涯を閉じるということになってしまいます。

通常、2~6年程度という長く続く「成長期」があることで、髪の毛1本1本が太く育ち全体量や髪のボリュームが維持されています。ところが、とある要因によって「ヘアサイクルの乱れ」がもたらされると「抜け毛」が増えていき、やがて「薄毛」が目立ってくるようになるのです。

前頭部や頭頂部に生じやすい「毛髪の軟毛化」は、男性型脱毛症(AGA)の初期症状として有名なものですので、「キマらない朝のヘアセット」の頻度が増えてきた場合、AGAのメカニズムが動き始めている可能性が疑われます。


なぜ前頭部や頭頂部で「軟毛化」が起こるのか?(AGAのメカニズム)

毛髪の軟毛化は、男性の場合「前頭部」や「頭頂部」で起こることが一般的です。ヘアサイクルに攻撃を加えることになる主犯格は、ジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる悪玉男性ホルモンで、これは善玉の男性ホルモンである「テストステロン」と、前頭部や頭頂部に多く存在する「5αリダクターゼ」の結合によって産出されるものになっています。

前頭部や頭頂部では「5αリダクターゼ」の存在によって次のような公式が成り立ちやすく、これが成立すると「ジヒドロテストステロン(DHT)」が発生して「毛髪の軟毛化(発毛力の弱体化)」が起こりやすくなっているのです。

ジヒドロテストステロン(DHT)の誕生メカニズム

テストステロン(男性ホルモン)+5αリダクターゼ(還元酵素)=ジヒドロテストステロン(DHT)

なお、前頭部や頭頂部に存在し得る「5αリダクターゼ」と呼ばれる還元酵素については、その総量の情報が遺伝によって受け継がれるものとなっています。つまり、遺伝的に「5αリダクターゼ」が前頭部や頭頂部に多く存在する体質を受け継いでいる場合、必然的に悪玉男性ホルモン(DHT)が生まれやすく、毛髪の軟毛化が起こりやすくなるというわけです。


AGAのメカニズムを正しく把握しておこう!

AGA治療

では、ここでもう少し詳しく男性型脱毛症(AGA)のメカニズムを捉えておきましょう。AGAは男性ホルモンを発端とした薄毛化症状ですが、「どうしてこのような作用が生じるのか」という全体像を把握しておくと、適切な対処法も見えてきます。


男性型脱毛症(AGA)の発動プロセスとメカニズム

AGAを発症してしまう流れを簡潔にまとめると次のようになります。

AGAの発動プロセス(メカニズム)

  • 1. 睾丸で作られた「男性ホルモン(テストステロン)」が血流にのって体内を巡る
  • 2. 男性ホルモン(テストステロン)が頭皮の毛細血管(特に前頭部や頭頂部)に巡ってきたとき、「5αリダクターゼ」と呼ばれる還元酵素と結びついてしまう
  • 3. 発毛力を強化するはずの「男性ホルモン(テストステロン)」が発毛力を弱体化させる悪玉の男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」へと変換されてしまう
  • 4. 毛乳頭付近に存在する「アンドロゲンレセプター」がDHTと結合してしまうことで、薄毛化因子が産出される
  • 5. 髪1本1本が持つヘアサイクルが乱れて、本来通り髪が成長できずに軟毛化してしまう
    ・通常のヘアサイクル:成長期(2年~6年)→退行期(2週間)→休止期(3~4ヵ月)
    ・ AGAのヘアサイクル:成長期(数ヵ月~1年)→退行期(2週間)→休止期(3~4ヵ月)
  • 6. 前頭部や頭頂部に生える髪が細く弱々しくなってしまい、抜け毛が増えて薄毛症状が顕著になってくる

先のご説明では少し割愛しましたが、実はジヒドロテストステロン(DHT)が産出された後も、その作用を受け取る「アンドロゲンレセプター(受容体)」の感度によって薄毛化因子の発生量が異なってきます。

また、このアンドロゲンレセプターの感度についても遺伝情報として受け継がれるものとなっているため、体質上ジヒドロテストステロン(DHT)が作られやすく、その作用を吸収しやすい人が前頭部や頭頂部において軟毛化しやすいということになります。AGAの遺伝的要因についても正しくまとめておきましょう。

AGAを発症する2つの遺伝的薄毛要因

  • 1. 優性遺伝(父母いずれか一方でもその傾向があれば受け継がれるもの
    前頭部や頭頂部に存在する「5αリダクターゼ」の量が多い
    → 悪玉男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)が生成されやすい
  • 2. X染色体上に存在する母方からの遺伝(女性は明確に薄毛化しにくいので、母方の祖父で判断
    毛乳頭に存在する「アンドロゲンレセプター」の感受性が高い
    → 悪玉男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)の影響を受けやすい

実際に髪のヘアサイクルが「ジヒドロテストステロン(DHT)」の影響を受けて軟毛化してしまうまでには、アンドロゲンレセプターと呼ばれる受容体の感受性も関係してきます。母方の祖父がハゲていたら自分もそうなりやすいと言われるのは上記のような理由があるわけです。


最も賢い対策は、DHTを生成させないこと!(AGA治療薬が有効)

遺伝情報として受け継がれる「5αリダクターゼの総量」や「アンドロゲンレセプターの感受性」については、受け継いでしまっている情報になっているためお薬の力で除去することはできません。とは言え、諸悪の根源である「ジヒドロテストステロン(DHT)」がそのまま遺伝してくるわけではないため、DHTが産出されるメカニズムを絶ちさえすれば「毛髪の軟毛化」を起こりにくくすることができます。「フィナステリド」と呼ばれるAGA治療薬については、既にご説明した以下の反応をブロックする作用があることがわかっています。

ジヒドロテストステロン(DHT)の誕生メカニズム

テストステロン(男性ホルモン)+5αリダクターゼ(還元酵素)=ジヒドロテストステロン(DHT)

「フィナステリド」と呼ばれる成分を内服薬として日常的に取り込んでいくというスタイルにはなりますが、こうすることで「テストステロン」と「5αリダクターゼ」の結合が成立しにくくなり、産出される「ジヒドロテストステロン(DHT)」の量が抑制されていきます。幸いにも現在ではこのようなAGA治療薬が存在していますので、初期症状として「毛髪の軟毛化」が生じ始める薄毛化メカニズムについては、早く対策すればするほどその影響を回避しやすくなっています。


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カウンセリング

当コラムでは、朝の髪型がキマらないときに考えるべき一要因として、「男性型脱毛症(AGA)の可能性」について言及いたしました。男性の毛髪の薄毛化は、AGA以外にも生活習慣やストレスなどが関係している場合もありますが、どちらかと言うとライフスタイル上の要因は二次的なものとなっていることが多いです。

根本的なところで「遺伝的要因」が関与しているケースが多いため、表面的な対策だけではなかなか改善しません。ぜひ、当院のような薄毛対策専門のクリニックで医学的に有効な対策をお立てください。随時「無料カウンセリング」を実施しておりますので、お気軽にご相談いただけますと幸いです。

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