AGA治療の効果が出るまでの期間

AGA治療の効果

AGAという言葉、最近良くCMでも耳にするようになりました。おそらくご存じの方も多いかと思いますが、AGAとは男性型脱毛症のことです。このようなCMを見ると、「実際にAGAで治療するにはどれくらいの期間が必要になるの?」と疑問に思われるかもしれません。

また「どんな治療法?」のような声もあると思います。ここではそのような疑問をお持ちの方のために、AGA治療の必要期間やAGAの治療薬についてご案内させていただきます。


AGA治療:効果実感までのプロセス

効果実感までのプロセス

薄毛やハゲは人により症状も様々

薄毛の症状や部位というのは、人により異なってきます。一般的に「思春期以降の男性に見られる額や頭頂部などの薄毛症状」を男性型脱毛症(AGA)と呼んでいますが、これも10代後半から20代中頃までの「若年性脱毛症」とされるものや、働き盛りの30代以降に見られる「壮年性脱毛症」などのように、タイプ別に分けられる場合もあります。


前提として「○○の期間で効果が出る」とは言えないもの

若年性脱毛症であれ、壮年性脱毛症であれ、それぞれの中でも薄毛に至る背景事情は異なりますので、一概に「○○脱毛症であれば○ヶ月以内に結果が出ますよ」というようなことは言えません。とは言え、治療を検討する際には一定の目安というのも気になります。そこで実際のAGA治療について、臨床試験データでの効果測定からその答えを探ってみましょう。


AGA治療:効果実感の目安は概ね半年後!

AGA治療の中身については、後ほど概要を解説させていただきますが、AGA治療薬の国内での臨床試験のデータを公表している製薬会社があります。ここでは、そのMSDという製薬会社の公表している臨床試験データを元に「どれくらいの期間で効果が認められるのか」を見てみましょう。

臨床試験の被験者は24歳から50歳までの男性のAGA患者374人です。写真評価によって、「投与前、3ヶ月時点、6ヶ月時点、1年時点、1年半時点、2年時点、2年半時点、3年時点」の各時点で皮膚科専門医がその効果を測定するものです。

▼クリックで拡大します臨床試験データ

▼クリックで拡大します臨床試験データ

薄毛症状が顕著に改善していっているもの「=著明改善」は極低い割合でのみ認められ、薄毛の症状が変わらないと判定されるもの「=不変」がそれなりの割合で認められます。同機関の公表するもう一つのデータも見てみましょう。

臨床試験データ

出典:https://www.msdconnect.jp/products/propecia/medical_3y.xhtml

1年後、2年後、3年後と徐々に改善者の割合(軽度以上は改善として評価)が伸びてきています。このように見ると、「効果としては、総合的に微妙なのかな」とお感じかもしれませんが、これらの被験者はそもそも既にAGA(男性型脱毛症)と診断されている方であることを思い返す必要があります。

つまり、「何もせずにそのまま放置していれば、薄毛は進行していくだろう」と予想される患者が対象なため、写真判定での薄毛状態の「不変」というもの(全体の40%程度)は、抜け毛を抑える効果が出ていると評価することができるわけです。各写真判定期の全データまでは公表されていないので厳密にこの臨床試験での効果面を吟味することはできませんが、こういった正規の臨床試験のデータを元に、こちらの製薬会社(MSD)では、この治療薬の効果面を以下のように評価づけています。

3ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もあるが、効果が確認できるまで通常6ヵ月の連日投与が必要である。また、効果を持続させるためには継続的に服用すること。

引用:https://www.msdconnect.jp/products/propecia/effect.xhtml

「効果が確認できるまで通常6カ月の連日投与が必要である」との文言からも、現実的に「薄毛が減った」までの道のりは、概ね半年程度は必要だということが言えます。なお、この臨床試験データは、治療薬「プロペシア」につていのものです。この薬自体は「発毛効果」があるわけではなく、「抜け毛の進行を抑える」という効果のものです。AGA治療では、この薬以外にも「ミノキシジル」という発毛効果があるものも使われます。それでは、AGAの治療法について具体的な部分を見ていきましょう。


AGAの治療法ってどういうもの?

治療法

ここではAGA(男性型脱毛症)の「薄毛対処法」という視点から、実際に問診などで各患者様にご提案する「生活環境面(生活習慣面)での改善法」、そして具体的な「治療薬での改善法」の両方をご案内したいと思います。


生活環境面での改善法

食生活での栄養面

食生活が乱れていては、髪を成長させるための栄養分そのものの摂取が難しくなってしまいます。髪の発育には、「タンパク質」「ビタミン」「ミネラル(亜鉛)」などの「三大栄養素」が不可欠であることが知られています。これらは自ら食事をする時に配慮できるものなので、まずはバランスの良い食事を心がけることが大切です。


適切な睡眠

「安定した睡眠時間の確保」も髪の成長に大きな役割を果たします。特に「入眠後3時間」は「ホルモンの分泌が行なわれる最も大切な時間」ですので、あまり多くの睡眠時間を確保できない場合でも、この最初の3時間は途中で乱されることのないような配慮をしてください。また「寝返りを打てないような環境」では、睡眠の質が低下してしまいます。

睡眠のサイクルは、一般的に90分間隔の周期とされていて、この90分の中で浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」が入れ替わります。これを1セットとして1日に4,5回繰り返されるわけですが、入眠後最初の2セットがお肌の面でも毛髪の面でも元も大切になってきますので、この部分の質を高めるためにも、入眠直前に脳を興奮させるような刺激はあまり与えない方が良いです。


ストレス解消法の確立

「ストレスでハゲる」というのは、正確な言葉ではありませんが、怒りやストレスなどは「交感神経を活性化」させてしまいます。交感神経の活性化によって、各臓器への血流は良くなり身体面でも闘争に備えられますが、各毛細血管に通じている「細動脈」に関しては、この時逆に締め付けられてしまうことが知られています。このようなことから、ストレスを感じ続ければ、頭皮などの毛細血管に流れる血流が悪くなり、髪への影響があるというわけです。

ストレス自体は、職場環境などなかなか簡単に改善できない場合もありますが、逆にストレスにさらされていることを感じている患者様であれば、それを緩和するためのストレス解消法を確立いただくよう、問診ではお願いしています。どのような形でも結構ですが、「手放しで楽しめるリラックスできる時間」を持てるように心がけてください。


適度な運動

「血流」と「抜け毛」の関係は、ストレス同様に直接的なつながりではないものの、間接的な影響はあります。よって、運動不足になりがちな場合は、やはり適度な運動を心がけていただきたいものです。特に年齢がいくほどに新陳代謝は衰えてきますので、日常的に歩くこともあまりないような場合は、軽いウォーキングを取り入れるなどの工夫をお勧めしています。


洗髪面での配慮

髪の洗い方に関しても、頭皮環境の正常化という観点から注意いただくべきことがあります。例えば、爪を立ててゴシゴシ洗ったり、1日に何度もシャンプーするような場合ですと、頭皮を傷つけてしまったり、頭皮の皮脂を必要以上に取り除いてしまうことが懸念されます。

シャンプーをどのシャンプーにするべきかという配慮(場合により育毛シャンプーなどを使うこと)もするに越したことはないですが、まずは「必要以上に洗わないこと」、「指の腹で優しくマッサージして洗うこと」、もみ洗いを終えた後は、「すすぎ残しがないように注意深く洗い流すこと」に配慮してください。


治療薬での改善法

専門医やクリニックを受診すると、上述のような生活面でのアドバイスなどと共に、以下のような治療薬が処方されるのが一般的です。


フィナステリド

「日本皮膚科学会」が「強くお勧めできる」ものとして、Aランクという最高ランクを与えている治療成分です。先の項でご紹介した「臨床試験データ」で用いられていたもので、国内でも厚生労働省が正式に認可しています。

効果は「育毛や発毛」を直接的に狙えるものではなく、「抜け毛を抑える」ものとして処方されます。1日1錠を基本として、継続的に服用いただくことで、「概ね半年程度」で抜け毛症状が改善することが知られています。


ミノキシジル

厳密なところ、育毛や発毛の治療薬ではなく、あくまでも「高血圧症状がある患者に対するお薬」です。よって、本質的な効能は「血管の拡張」です。このため、「育毛や発毛の治療薬」として国に認可されていないのが実情です(健常な方が発毛目的で血圧を下げる薬を服用することは妥当ではない、というのが国の判断するところです)。

ところが、この「血管拡張剤」の副次的効果として発毛効果があることが発見されたこともあり、この「ミノキシジル」という成分を低い割合で取り込んだ「リアップ」という育毛剤が国内製薬会社からは既に販売されている状況です。

「リアップ」自体は頭皮に塗布する育毛剤ですので、現実的にミノキシジルの効果を最大限に取り入れらものにはなっていませんが(成分割合としても全体の5%以内)、服用という形で錠剤タイプの「ミノキシジル」を体内から取り込んだ場合、発毛効果は高いものであることが知られています。

当クリニックとしては、「ミノキシジル」を服用するにあたり「どのようなリスクが伴うのか」、また「どの程度の用量が安全でベストなものなのか」を慎重に判断させていただき、薄毛にお悩みの患者様のご希望に沿う形でこれを処方させていただいております。


長い道のりだからこそ、効果のあるお薬を!

効果のあるお薬

ご紹介させていただきましたように、実際にAGA治療をする場合においても、薄毛症状が改善されていくまでには「長い道のりが必要」となります。逆に言えば、効果のある治療薬でもそれだけの期間を要することから、安易に市販の「育毛剤」や「育毛シャンプー」を手に取るだけでは、なかなか良い結果につながらないのが実情です。

このようなこともあり、当クリニックとしましては、できる限り早期に専門機関にご相談いたくことをお勧めしております。患者様それぞれの生活面からのアドバイスと共に、効果のある治療法(治療薬)を丁寧にご案内させていただきますので、お気軽に当クリニックにご相談いただければ幸いです。

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